他人を見下す若者たち
『他人を見下す若者たち』 速水敏彦 講談社現代新書
帯に「自分以外はバカ」の時代!と大きい字で書かれています。さらに小さい字で
●自分に甘く、他人に厳しい
●努力せずに成果が欲しい
●すぐにいらつき、キレる
●無気力、鬱になりやすい
●「悪い」と思っても謝らない
と書かれています。そんな内容の本です。
著者は心理学の学者さんで、いかにも学者さんが書くような内容の本でした。今は新書ブームで読みやすい新書もたくさんありますが、一昔前は新書にはそれほどおもしろいものはありませんでした。そんな時代の新書を思い出させるような本でした。
どういうことかと言うと、自分の専門分野で論文発表するような内容を一般人にもわかりやすいように一般向けの本に書いてみた、という感じでそれが決してわかりやすくはない、という本です。「仮想的有能感」という自分で造った言葉をキーワードとして書いていますが、これが読んでてすっきり入ってきません。
内容的には、自分にもあてはまるところが多々あって反省することしきりです。中にも書かれていますが、なにも若者に限ったことではないと思います。
一つだけ抜書き。
「人のやる気を心理学では達成動機と言っているが、達成動機が向けられる方向には二つあり、一つは社会的に承認された仕事や勉強への社会的達成動機と呼ぶもの、もう一つは個人的に重視された趣味やスポーツへの個人的達成動機とでも呼ぶべきものである。言うまでもなく、最近の若者たちは、社会的達成動機が相対的に低く、個人的達成動機が相対的に高い、と考えることができる。しかし、個人的達成動機の高さは、他者にはわかりにくく、外見的にはやる気が低下しているように見えよう。」
う~ん、耳が痛い。。
評価:6点
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