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2008年1月19日 (土)

壊れた脳 生存する知

Photo 『壊れた脳 生存する知』 山田規畝子

            講談社 04年2月刊

昨年末レポートした立花隆「ぼくの血となり肉となった500冊そして血にも肉にもならなかった100冊」の中で紹介されてて、ここでも紹介し、読みたい本リストに追加していた本。

そのときに書いた部分をそのまま再掲。

著者は、東京女子医大を卒業して10年ほど医師の経験を積んだあと、33歳で実家の整形外科病院長になった。しかし、翌年脳出血で倒れ、脳梗塞を併発。「高次脳機能障害」の後遺症に苦しみ、医者は再起不能と見て「余生はのんびりされたら」とすすめるが、リハビリにつとめ、2年半後には、リハビリ専門医として、医療現場に復帰した。/前回出血から3年目の01年に、再び脳出血。直径8センチの大血腫ができ、緊急手術で取り出したら750グラムもあった。植物状態になることはほとんど確実というところで、命はとりとめたが、左不全麻痺の後遺症に苦しみ、空間性認知障害、記憶障害、言語障害、注意障害など、多くの障害に苦しみつつ、再び老人保健施設の施設長として現場復帰した。/いまでも周囲の人に助けられつつ生きている身だが、こんな本を書いてしまうところまで脳が戻ったのだから大したものだ。/脳卒中(脳出血と脳梗塞)について書かれた本は数々あるが、ほとんどが、患者を外側から見て書かれた本だ。医者が4度も脳卒中になり、そのたびに復帰した患者として、脳卒中で起こる諸症状を急性、慢性含めて内側から詳細に記録した、世界的にも医学的にも稀有な本である。/この本によって、脳卒中患者の内側が本当に見えてくる。(略)著者がいうように「どんな脳でも必ず何かを学習する」のであり、どんなひどい脳内イベントからでも少しずつ立ち直ることができるということを今から肝に銘じておこうと思った。

参考になればと思って読んだ。

少しだけ抜書き。#は感想。

・・空間認識やものの位置関係がわかりにくくなっている人が道に迷わないためには、考えを言語化するといいそうだ。/「あそこで右に曲がったんだから、左に行けば、目的地に着けるはずだ」というように。/その理由は、目で充分に認知しきれない情報を、耳から入力することによって補えるからだと考えられているらしい。/それも確かにあるだろう。だが私の感覚では、それはいくつかの代償作用の一部分にしかすぎない気がする。言語化する、ぶつぶつ言ってみるということが、霧のかかった頭の整理に有効だというのは正しいと思う。だが道に迷わなくなる本当の理由は、耳から情報を入力する効果だけだろうか。/私個人の考えでは、言語化すると、その声に出したという行動と言葉がいっしょになって記憶に残るからではないかと思う。それも若干、長期記憶に近い、しっかりとした記憶である。・・・/私には、自分で言っていることを耳を澄まして聞いているという実感がない。どちらかというと、声はそのままどこかへ消えてしまう気がする。むしろ「言葉として声に出した」こと、口から出力した行動の記憶のほうが、強く作用しているのではないだろうか。

#これは健常人でも同じことが言える気がする。暗記ものをしているときはぶつぶつ言ったほうがいいと思う。まあ、とりあえず口に出して言わせるということを気にしてやってみよう。

 
・・・のどや口にも麻痺症状が見られ、食べ物を正しく飲み込むことができなくなった。/・・・食物が口の中というけっして清潔とはいえない、むしろバイ菌だらけのところを経由して本来無菌状態であるべき気管に入るので、肺炎を引き起こしかねない。実際、肺炎で命を落とす脳卒中患者は少なくない。

#まだ嚥下はできているので、今のところこの心配はない。が、今後気を付けて見ていこう。

 
とにかくこの作者のバイタリティには驚くばかり。

評価:7点

 

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