オンリー・イエスタディ
『オンリー・イエスタディ』 石原慎太郎 幻冬舎 08年1月刊
著者の昔の知り合いについて書かれたもの。18章からなり、1章に1人だったり、数人だったり。けっこう個人的な作品。
若い時分えらく遊んでた様が村上龍と少しダブった。えらく違う人物だが。
以下、抜書き。#は感想。
・・・理解力だけではなしに理解したものの咀嚼力、さらに咀嚼した知識を踏まえてのことのハンドリングはそれぞれ位相の異なる能力だろうが、さらにその上に新しい思いつきの出来ることが、いわゆる「出来る人間」の絶対必要条件なのだ。/そしてその絶対必要条件を培ってくれるものは、その人間の感性に他ならない。感性は天与のものと考えられがちだが必ずしもそうではない。努めて試みれば、自ら開発可能なものなのだ。/それは何でもいい自分が熱中できる趣味を持つことだ。ペットを飼う、何かスポーツを手掛ける、将棋をさす、俳句をひねる、とにかく何でもいい、他人の真似ではなしに自分で選んで好ましいと思ったことを手掛けることだ。/はたが何といおうと自分が本気で熱中出来る趣味を持ち、それに耽溺することで、さまざまな工夫が強いられ、工夫の努力と楽しみの内に脳が開発され、それが発想力だけではなしに、脳のある酵素の刺激が多角的に及び、今までに備わっていなかった情念が開発付与される。/大脳生理の原則として、何であろうと自ら工夫を凝らすという作業こそが人間に幅を与え、頭の回転を速いだけではなしに多角的なものにしていくのだ。
#何か最後はちょっとあやしい。
過ぎた物事について「もし」というのは禁句だろうが、この日本をずたずたにしてしまった財政の破綻は、歴代の橋本、宮沢、三塚といった多くの無能な大蔵大臣が政治家としてその責を負うべきだが、誰を眺めても財政の勘どころを全くつかんでいなかったあの連中の代わりに、渡辺美智雄がもしももう少し長く大蔵大臣を務めていたなら、日本の財政の惨状はここまでには至らなかったのではないかと私は思っている。
#石原慎太郎はえらくミッチーをかっているようだ。
おもしろかったけど、あまりに個人的回顧録のような感じなので、
評価:7点
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