カルロス・ゴーン 経営を語る
『カルロス・ゴーン 経営を語る』
カルロス・ゴーン+フィリップ・エリス 日本経済新聞社 03年9月刊
昨年末レポートした立花隆「ぼくの血となり肉となった500冊そして血にも肉にもならなかった100冊」の中で紹介されてて、ここでも紹介し、読みたい本リストに追加していた本。
そのときに書いた部分(抜書き)をそのまま再掲。
カルロス・ゴーン、フィリップ・リエス『カルロス・ゴーン 経営を語る』(日本経済新聞社 1600円)を読んだら、ゴーンは人間としてとても興味深い人だということがわかった。(略)その家族的バック・グラウンド(ブラジルとレバノン)と教育的バック・グラウンド(フランスの最高のエリート教育)がどれだけ多くのものをゴーンに与えたかが語られるくだりで、日本人の全く知らない世界が語られ、これが非常に面白い。またビジネス社会(ミシュラン)に入ってからの初期OJTが、その人を作りあげるために、どれほど大切かもよくわかる。(略)これは経営学の本というより、人間学、社会学の本で、そういう本として面白いし、実に考えさせられるところが多い。
帯にある文言↓
「経営者がやるべきことの中で最も重要なことは従業員のやる気を起こさせることだ。彼らのやる気こそが価値創造の源泉となる。」
まさにそのとおりだと思う。
03年9月刊だが、1999年10月に発表したリバイバルプランが1年前倒しで達成されたのが2002年なのでその後に書かれたもの。書かれたといっても、1年がかりで行なわれたインタビューをもとに作られたもの。
99年当時は、日産が売り出していた43車種のうち、わずか4車種しか黒字を計上していなかったらしい。
以下、抜書き。#は私の感想。
普通、再建計画というのは、工場の閉鎖などの“過去の清算”と、新しい事業の展開など“未来のための準備”という二つの目的からできあがっている。・・・だが、衰退している会社では、再建計画を立てる時に、この“未来のための準備”という側面が軽視されていることが多い。・・・過去の計画で行なわれたことは、事務所の清掃は月に一度に減らすとか、事務用品は個人で買うようにするといったばかばかしいやり方で、従業員の士気をくじくだけのものであった。まるで日産の再建が鉛筆と消しゴムの費用にかかっているかのように・・・。
#ほんとにこういうことはかんべんしてもらいたい。
ミシュランに入った時、私は一介の技術者に過ぎず、それもブラジル生まれで、フランス国籍も持っていなかったのです。それが今日、日産の社長を務めています。今の私があるのは理工科学校を出たからでも、一流の技術者だからでもありません。それは私が周囲の人々の力を集めて、なにがしかの事柄を実現してきたからです。その際、私の助けになったのは、学校で学んだことではなく、“人々にやる気を起こさせる”ために私がしたさまざまな工夫でした。
#やる気をなくさせる、ような体験はこれまで多くしてきた。反面教師としなければ。
期待したほどではなかったので、
評価:7点
(05年12月には文庫されていた。知らずにハードカバーを買ってもうた。。)
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