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2008年12月26日 (金)

私の好きな日本人

Photo_2 『私の好きな日本人』 石原慎太郎

  幻冬舎 08年11月刊

雑誌「プレジデント」に連載していたのをまとめたもの。
10人の日本人について書かれている。

以下、抜書き。#は感想。

■織田信長
・・・信長が一番手こずった相手、南無阿弥陀仏を唱えて果敢に抵抗し続けた本願寺派の一向宗徒の信じるところ・・・。中世という乱世に虐げられ続けていた彼等民衆は現世での業苦から逃れるために、念仏を唱えれば必ず来世では救われ幸せになれると説く教えに帰依し、その来世志向のエネルギーが執拗な戦いを続けさせていた。/それはこの現代、中近東のイスラム圏で頻発している自爆テロのテロリストの心情、聖戦に命を賭けて死ねば必ず天国に導かれてそこで美女数千人にかしずかれて暮らせると信じる来世願望に本質的に酷似している。

#本願寺派=浄土真宗であり、すぐ横に置いている仏壇も浄土真宗仕様。こんな来世願望は私にはないのだが。。日本で一番多いのは浄土真宗らしい。はたしてどれくらいの人がその宗派の本当の意味を知っているのか?イスラム圏での聖戦で思い出すのは手塚治虫の「アドルフに告ぐ」。おすすめのマンガ。

 
■大久保利通
#今年の大河ドラマでも登場したが、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」が思い出される。おすすめの小説。ただし少々読みにくいし、文庫で全10巻もある。

 
■広瀬武夫
#肩書きに軍神とある。日露戦争で英雄になったらしい。初めて名を聞く人であったが、司馬遼太郎の「坂の上の雲」が思い出された。おすすめの小説。これは文庫で全8巻。

この人について、以下のように書かれている。
国家というものの意味合いは時代によって随分違おうが、しかしなお、広瀬武夫のように自らとその国をかくまで重ね合わせて生きることの出来た者の至福さを、その美しさを、私はつくづく羨ましいと思う。

#なんとタカ派なコメント。やっぱり国会議員には向かん。知事とはいいポジションを選んだものだ。国会議員としてこんな発言してたら非難する人も出てくるだろう。

 
■岡本太郎
・・・それまでさしたる評価を受けていなかったこの日本の太古の文化の表示である縄文文化の出土品について、それが民族の感性を表象するいかに素晴らしく特質的な芸術様式であるかをこの国で最初に証してみせたのは、考古学者でも美学者でもなく画家の岡本太郎だった。/・・・彼が縄文土器について美術雑誌『みづゑ』に発表した論文は日本の美術界にセンセイションを巻き起こした。それまでは弥生土器に比べて稚拙で野卑でしかないと思われていた縄文土器を、古代ヨーロッパのケルト文化の所産との類似性を指摘して、『激しく追いかぶさり重なり合って、隆起し、下降し、旋廻する隆線紋、これでもかこれでもかと執拗に迫る緊張感、しかも純粋に透った神経の鋭さ、常々芸術の本質として超自然的激越を主張する私でさえ、思わず叫びたくなる凄みである』と記している。/・・・そして縄文様式の発見は彼自身にも大きな影響を与えたのだった。/宇宙人に似た縄文土器の模様や人形は、明らかにその後戦後初めての万博でのモニュメント、『太陽の塔』のフォルムに蘇生させられているではないか。

#太陽の塔は素晴らしい。これを作った岡本太郎もすごいが、万博のモニュメントを岡本太郎に発注した人もすごい。つい最近、朝日新聞に写真が載っていた。↓
Photo_3
浦沢直樹の「20世紀少年」でピックアップされたのもうれしい。おすすめのマンガ。

 
請われてサロン・ド・シュール・アンデパンダンに出品した彼の作品を見てピカソは、「ああ実にいい。実に独特だし、色がいい」と絶賛し、太郎が、「みんな均衡だとか調和ばかりで絵を描いているけど、見る者を圧倒するのが本物の芸術だ。悪趣味をかざして生温い趣味性をぶち壊すべきなんだ」といったら、ピカソは、「その通りだ。俺もそれをやっているんだ」と答えたそうな。

#この天才たちは常人の理解を超えている。岡本太郎著「自分の中に毒を持て」、おもしろかったはず(10年くらい前に読んだけど、読書ログの中で欠落している)。

 
評価:8点

 

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