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2009年2月19日 (木)

夏草の賦(上・下)

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『夏草の賦(上・下)』 司馬遼太郎 文春文庫

長曾我部元親の話。
信長、秀吉の時代、土佐から身を興し四国を平定した武将。少し前に読んだ「尻啖え孫市」がおもしろかったので、戦国時代の中編ものを読んでみた。「尻啖え~」ほどはおもしろくないなあ、人物の魅力によるんだろうなあ、と思いながら読んでいたが、最後の章にきて一気に目が覚めるようにおもしろかった。まあ人物の魅力は雑賀孫市の方が上だけど。最後は黒澤映画「乱」のラストシーンが思い出された。

 
ちょっと雑学的に抜書き。

一領具足とは、屯田兵のことである。平素は田を耕し、農耕に出るときには具足櫃を田のあぜに置き、槍をつきたて、槍のさきに兵糧をゆわえておく。城から陣ぶれ(動員)の貝がきこえわたってくると、クワ・スキをほうり出し、その場から出陣してゆく。具足は一領、馬は替え馬なしの一頭で戦場を走りまわるためにその呼称ができた。のちに土佐馬の獰猛さと一領具足の猛勇さが土佐人の象徴のようにいわれるようになり、後世、この階層が郷士になり、幕末この階層から土佐藩の勤王奔走の志士のほとんどが出たことを思えば、元親のこのときの発想は日本史的な事件であったといっていい。/そのもともとのおこりは、大百姓を侍に組み入れて長曾我部軍団の人数を倍にして、それをもって安芸氏と興亡を決する決戦をしたいがためのものであった。

 
元親は、権謀者である。/権謀者にとって全世界の人間は利用されるために存在している。それが悪徳である、という思想は、東洋にはない。むしろ人を利用するにしても私心をわすれ、誠心誠意利用すれば薄情な善人よりも多く人を感動させる、という思想は東洋にある。

 
評価:9点

 

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