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2010年11月10日 (水)

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

Photo_2 『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです
    村上春樹インタビュー集 1997‐2009』

  文藝春秋  10年9月刊

村上春樹ファンなら必読だと思った。
長編小説をもう一度全部再読したいと思った。

どうやら彼が小説を書くときは神が降りてくるようだ。そういう表現では書かれていない(しゃべっていない)けど、そんな感じみたい。

以下、抜書き。#は感想。

 
・・・三日で書けない短編は短編じゃないと思うようになった。もちろん三日かけて書いたあとは、十回も十五回も、グシャグシャ書き直しますよ、何日かけても。でも、ファースト・ドラフトは三日間。三日でひと息で書き終わって「よし」と思わないとダメなんです。/・・・/僕は徹底的に書き直します。『スプートニクの恋人』だって、書き上げてから一年以上かけて、何十回か書き直してる。

 
・あれこれ言う前に、やっぱり小説というのは文体だと思うんです。

#彼の文体は独特だし、それが大きな魅力になっているのはまちがいない。

 
・僕は、自分の小説の最終的な目標を、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』においています。そこには、小説が持つすべての要素が詰め込まれています。そしてそれは、ひとつの統一された見事な宇宙を形成しています。僕はそのようなかたちをとった、現代における「総合小説」のようなものを書きたいと考えています。それはずいぶん難しいことかもしれないけれど。

#「カラマーゾフの兄弟」は未読。そのうち読まないといけない。

 
・ストックホルムの地下鉄では乗客のほとんど全員が携帯電話で話をしていて、シュールレアリスティックだった。

 
・長編小説を書く時期に入っていれば、毎朝4時に起きて、5時間か6時間執筆します。午後には10キロ走るか、1500メートル泳ぐか、あるいはその両方をします。・・・

#走るには10㎞くらい、泳ぐには1500くらい、を必要とする距離感が私の感覚と同じ。

 
・僕がこんなことを言うのはなんだけど、何度読み返したところで、わからないところ、説明のつかないところって必ず残ると思うんです。物語というのはもともとがそういうもの、というか、僕の考える物語というのはそういうものだから。だって何もかもが筋が通って、説明がつくのなら、そんなのわざわざ物語にする必要なんてないんです。

 
・宮崎氏の映画を見たことはありません。僕は、とくにこれという理由はないのですが、アニメーション映画にあまり興味を持てないのです。人生の限られた時間を節約して使うために、自分に興味のあることと、自分に興味のないこととを、はっきり分別する傾向が僕には強くあります。あくまでたまたま今のところは、ということですが、アニメーションは僕にとって「あまり興味がないこと」の方に分類されています。

#頑固そうだ。文化の担い手として見るべきだろうと思うけど。

 
・僕はもともとは長距離ランナーですが、長距離をしっかり走るためには、ただスタミナをつけるだけではなく、インナーマッスルを組織的に鍛えなくてはならない。ストップウォッチを使ったトラック練習も必要になります。瞬発力と持続力の有効な組み合わせによって、深みのある仕事がはじめて可能になるはずだというのが、僕の考え方です。

 
・・・訃報を聞いたときはね、もちろんショックではあったけれど、一人の作家としてみてみれば、まあ五十までにあれだけのものが書けたんだから・・・とも思ったりしたんだけど、いざ自分が五十になるとね、そんなもんじゃないよなあ、と実感しました。かつてそういうことをちらりとでも思ったことが、自分でも恥ずかしかった。カーヴァーだってもっと長生きして書き続けたら、これまでのものとは違う見事な作品が数多く書けたはずだと、今では思います。間近に迫った自分の死を前にして、さぞや悔しかったに違いない。もっと生きたかったに違いない。そういう作家たちの人生を見るにつけ、無駄に時間を送りたくないという気持ちがますます強くなりますね。

 
・人の精神というのは、地表の部分を高くしようとすればするほど、地下の部分も同じだけ呼応して深くなるわけです。つまり人が善を目指そうとすれば、悪というのは補償作用として必ずその人の中で、同じぶん伸びていきます。同じように人が健康になろうと思えば思うほど、地下にあるその人の不健全な部分は深くなっていくはずなんです。

#ふむふむ。

 
評価:9点

 

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