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2011年9月20日 (火)

原発はいらない

Photo 『原発はいらない』 小出裕章

  幻冬舎ルネッサンス新書 2011年7月刊

「原発のウソ」が6月刊なので、その後に書かれた本。そのため前著より情報量は多いし、よりわかりやすくという意図のためか図版も多い。

原発はいらんね。

以下、抜書き。

 
○東京電力が原発事故以降に実施した「計画停電」は、「原発がないと困る」と消費者の不安をあおる宣伝だと私は思っていますが、実際は日本中の原発を即刻止めても、電力量不足にはなりません。東京電力の原発依存度は32.1%とそれほど高いとは言えず、休業している火力発電所を稼働させれば、供給電力量は不足しないというのが、私の判断だからです。

 
○六ヶ所再処理工場では年間800トンの使用済み核燃料を処理する計画ですが、仮に計画通り40年間、順調に工場が稼働したとしても、処理できる使用済み核燃料は3万2000トン、1トン当たりの再処理費用は約4億円になります。これまで英国やフランスに再処理を委託してきましたが、その費用は1トン当たり2億円でした。つまり、六ヶ所再処理工場は、もともと海外に委託する場合の2倍もの再処理費用がかかることになります。

 
○福島第一原発事故から得た教訓は、「政府や電力会社は、なかなか情報を公開しない」ということです。一番怖いのは、事故を過小評価して避難指示などを意図的に遅らせることではないでしょうか。/たとえば風速4メートルであれば、放射能は1時間に14キロメートル流れるので、避難指示が遅れれば、近くに住む方々は、指示があってからすぐに避難したところで追いつかれてしまいます。こうなれば、急性放射線障害から逃れることができなくなるかもしれません。

 
○SPEEDIとは、文部科学省が主管(福島第一原発事故以降、原子力安全委員会に移管)する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムのことです。原発事故が起きた場合、気象観測情報、アメダス情報と放出核種、放出量などのデータを総合して、放射性物質が各地域にどのような影響を及ぼすかを「素早く教えてくれる」ものです。住民の方にとっては逃げる場合、どちらの方向が安全かを判断するための非常に大切な情報にもなります。/このシステムは莫大な予算を注ぎ込み、20年くらい研究してようやく実現化したのですが、政府(原子力安全委員会)は事故当初、その情報を公表しませんでした。いろいろと批判された結果、事故から2週間経って、「実はこうだったんですよ」と発表しましたが、それは2週間前の天気予報を聞かされるようなもので、何の役にも立ちません。/公表しなかった理由を政府はいろいろと言っていますが、「下手に発表すると、住民がパニックになる」ことを恐れたのでしょう。これは情報を隠蔽する時の常套句ですが、情報がないからこそ、パニックになるのです。パニックを防ぐ唯一の道は、正確な情報を迅速に公開し、政府が人々から信頼を得ることです。

 
○プルトニウムを再処理しながら、核燃料サイクルをぐるぐる回しながら、エネルギー源にするという構想の中心にあるのが高速増殖炉です。1968年に計画された時には、1980年代前半に実用化するというプランでした。ところがその計画は挫折、今では2050年に1基目の高速増殖炉を完成させるところまで、計画は大幅に後退してしまいました。/10年経って目標が10年先に逃げるプランは、絶対にたどり着けません。しかし、日本の高速増殖炉計画は、10年経つと20年先に目標が逃げてしまっています。そんな計画は絶対に実現しません。/しかし政府は、「もんじゅ」という高速増殖炉の原型炉だけでも、すでに1兆円もの金を捨ててしまいました。「できる、できる」と期待を持たせながら、結局はできないと言うなら、これは詐欺みたいなものです。・・・経済産業省や原子力安全委員会などで、「もんじゅ」に関わった人が何人いるかは、私は知りません。しかし、誰も責任をとっていないことだけは明らかです。

 
○東京電力に賠償をきちんとさせるという意見は政治家にも強いようですが、本当の被害額は、東京電力が何度倒産しても間に合わない規模になります。日本国が破産覚悟の賠償をしても、まかない切れないかもしれません。/事態がそれほど深刻であることを、多くの日本人はいまだに気づいていないように、私には見えます。

 
○福島第一原発事故で、福島県民のみならず日本全国の人々、そして世界の人々に甚大な損害と犠牲を与えながら、まだ原発を再稼働させようと画策するのはなぜでしょうか。その理由は大きく4つあります。
①独占企業である電力会社は、原発を作れば作るほど、稼働すればするほど儲かる仕組みになっている。
②原子炉の製造を三菱重工、東芝、日立などの大企業が担い、そのまわりに「原子力村」の住人である政治家、官僚、地方自治体、関連企業が群れ集まり、原子力利権を分け合う構造を手放すことができない。
③「原子力開発=核兵器開発」であり、日本の政府は一貫して核兵器をいつでも製造できる態勢を維持することに努めてきた。その国策を、「たかが原発事故」くらいで変更はできないと思っている。
④悲しい事態だが、原発交付金、補助金などによって財政の首根っこを押さえられている地方自治体は、雇用の問題もあり再稼働を容認せざるを得ない。

 
○海上保安庁に勤める公務員でありながら、四日市公害を告発した田尻宗昭さん(故人)は、「社会を変えていくのは数ではない。1人です、2人です、3人です」と述べています。自分に加えられる危害を容認できるかできないか、あるいは罪のない人々に謂れのない危害が加えられることを見逃すか見逃さないかは、誰かに決めてもらうのではなく、一人ひとりが決めることです。/一人ひとりのみなさんが今後、自らの内部からわきあがる思いに従って、それぞれの個性を発揮して行動してくれるなら、日本だけでなく世界中の原発を廃絶させることができると私は思います。

 
ひとこと所感:
どじょう首相は増税する気満々だが、まず原発推進関係の無駄な投資をやめてもらわないことには、肯けないな。

 
これもまた1人でも多くの人に読んでもらいたい。

評価:9点

 

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