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2011年11月15日 (火)

体制維新―大阪都

Photo 『体制維新―大阪都』

 橋下徹 堺屋太一 文春新書 2011/10/31刊

11/27の大阪市長選に向けて出された本。もっと早くに出した方がよかったのではないか?選挙までにどれだけの人が読んでくれるだろう。

歯に衣着せぬ物言いが、悪い意味でメディアに取り上げられているという印象が拭えない。主張している内容は理想論的ではあるが、支持したい。11/27の知事選、市長選はとても楽しみ。大阪人に変化を選択してもらいたい。

 
以下、抜書き。#は感想。

 
○国鉄は、・・・1970年代には、貨物は自動車に、長距離旅行は飛行機に喰われ、大きな赤字を出すようになりました。/これに対して国鉄当局は、様々な改革を出しました。総裁には大蔵事務次官や大手商社出身者を就けたりもしました。/でも、経営改善は進みません。赤字は増え年間二兆円以上にも達しました。/そこで、1985年、中曽根内閣は国鉄を分割民営化するという大胆な体制変更を打ち出しました。これには国鉄の経営陣や労働組合などが大反対、一時は「ストライキで対抗する」と息巻いたものです。しかし、国民は国鉄改革を支持し、分割民営化が実現しました。国鉄職員にも、赤字を垂れ流す体制に失望して、改革を支持する者も増えていました。/この結果、国鉄を民営化して生まれた6つの旅客会社と貨物会社は黒字となり、何千億円もの法人税を支払ってくれるほどになりました。体制(システム)を変えれば、同じ事業でもガラリと変わるのです。

#これは堺屋氏の文章。主義主張は同じではあるが、なぜ堺屋氏と共著としたのか。堺屋市はもう過去の人だから、橋下氏単独の本の方がよかったと思う。

 
○僕はよくゲームにたとえるんです。子どもたちは、ゲームのいろんなソフトについて友達同士でしゃべります。おもしろい隠れキャラクターがあるとか、攻略法などを朝から晩まで喋っている。/だけど、そのゲームを動かすニンテンドーDSや、PSPなどのハードの仕組みについて、じつはこれがアメリカ軍の機密にもなるようなチップが入っているとか、集積回路はどういう配置になっているとか、日本のこんな最先端技術が使われているとかいう話はしませんよね。おもしろくもなんともないですから。システムやメカニズムの話、またメカニズムを変えなくてはいけない、システムを新しくイノベーションしていかなくてはいけないという話は、エンジニアなどの専門家を除いては一般ユーザーにはなかなか伝わりにくい。/行政機構の話もそうなんです。行政機構の専門家でないとわかりにくいんです。一般の国民の皆さんに、もっとわかるように説明しろと言われるのですが、とても難しい。地方自治制度や地方行財政制度を4年間勉強した大学生でもよくわからないくらいです。/大阪都構想によって何が変わるのか、を完全に理解している人は、関西圏の大学教授にも恐らくほとんどいないだろうと思います。非常に大切なことなんだけれども、それを伝えることはむずかしい。だからこういう形で堺屋さんと本を出すことにしたんです。

 
○霞が関のエリート官僚は・・・/昨日まで経済産業省で特許庁総務課にいた人が、今日からは、わずか3時間ぐらいの事務引き継ぎで通商政策を担当、貿易交渉をしたりするわけです。能力に応じて人事が行われるのではなく、公務員として入省した入り方と年次で「身分化」が起こっているのです。何年入省だからそろそろ課長に、次は部長か審議官にしなければならないといった形になっている。官僚というのは本来、職業であるべきなのに、現実は「身分化」している。これは霞が関の硬直化を象徴する重要な問題です。/そういう霞が関の官僚が淀川のダムとか、京阪神の道路を作ることまでを決定して、補助金をつける。補助金をつけたから地方はその裏負担をしろというのが今の仕組みです。

 
○慢性的に赤字化した財政を健全化させるのはしんどい仕事です。いままで当たり前だった公的サービスに優先順位をつけ、削るべきは削る。同時に、有権者の皆さんに負担を求める。つまりサービスカットやサービスにかかわる手数料の増額などです。選挙のことを考えると、政治家はこの道を選べません。誰もが避けようとします。だから財政再建に手がつかない。いまや、日本という国全体がこういう状況にあります。

 
○今の教育委員会制度は教育の中立性を錦の御旗に、教育現場が全てを仕切る仕組み、教育現場は半ば治外法権のような状態です。そして地方の教育委員会は、自らの首長、議会の言うことに耳を傾けませんが、文科省の言うことは全てビシッと聞くのです。完全な官僚体制です。このような現実も世間ではあまり知られていません。

 
○大阪市長は、京都府や広島県に匹敵する自治体において広域行政と基礎自治行政の全てを担うのです。市役所がとてつもなく大きな権限と財源を有している。そしてそのチェック機関は大阪市議会一つです。独裁というなら、こちらのほうがはるかに独裁的で危険です。事実、さまざまな弊害が大阪市では起きています。/一例をあげれば、大阪市には市立高校も含めて525の学校があります。教育委員会は一つだけ。たった6人の教育委員会が、525校を所管している。大阪市以外の市町村では、一つの教育委員会が所管する学校数は10程度。多くても3、40校程度です。大阪市長が一人で、そして一つの教育委員会で、525校すべてに対応するのは絶対に不可能です。ゆえに、全て教育委員会事務局という官僚組織に任せ切りになってしまいます。本来なら、区ごとに教育委員会を設けるべきなのです。

 
○市役所は区長の予算を10倍に増やす方針も示しています。それでもたかだか20億円。人口10万人、大きい所では人口20万人を超える区もありますが、同じ人口規模の基礎自治体の予算と比べても、小さすぎることに変わりはありません。人口10万人の大阪府池田市の予算規模は約350億円(2011年度)なのですから。

 
○事が起きても誰も責任を取らない。重い責任を負った決定でないからいい加減な軽い決定になる。決定権者に重い責任を負わせなければならない。重い責任を負えば負うほど決定権者は熟考し、思い悩み、死ぬほどの苦しみを味わいながら決定する。そしてそのような状況で頼った最後の勘が抜群に冴えるのです。日本の政治家の決断が吹けば飛ぶような軽いものであり、勘もまるっきり冴えないのは、それだけの重い責任を背負った決断ではないからでしょう。

 
評価:9点

 

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投稿: うじ-え | 2011年11月15日 (火) 23時11分

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