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2012年9月 3日 (月)

平和の毒、日本よ

Photo_3『平和の毒、日本よ』 石原慎太郎

産経新聞出版 2012年8月刊

産経新聞のH18/3~H24/6までの月一の連載をまとめたもの。

H18/2までの分は →こちら

相変わらずの過激発言オンパレード。こういう過激コラムを月一でも一面に掲載し続ける産経新聞はすごいと思う。

もうかなりの高齢だが、こういう発言をする後継者が欲しい。

文章がかなり読みにくい。とても人に薦められない。もう、このシリーズの次は読まないかな。


以下、抜書き。

○東京に限らず日本の大方の川はコンクリートを使ったいわゆる三枚張りとなり、川としての機能も風情も失ってしまった。日本に長いアレックス・カーの著書『犬と鬼』によると、訳のわからぬ建設事業の推進で日本でのコンクリートの使用量はなんとアメリカ全体の2倍という。その巻き添えで東京の川も、先人たちがせっかく造った運河も実質死んでしまった。


○20年近く前東京で行われた、「ブラックホールの蒸発理論」を発表した宇宙学者ホーキングの講演を聞いた時のことだ。/・・・聴衆の一人が、この宇宙全体に地球のような文明を持った星が幾つほどあるのだろうかと質したら、ホーキングは言下に「200万ほど」と答えた。/その数に驚いた他の参加者が、ならばなぜ我々は実際にそうした星からの来訪者としての宇宙人や宇宙船を見ることがないのかと聞いたら、これまた言下に、「地球のような高度の文明を造り出した星は、そのせいで循環が狂ってしまい極めて不安定な状況をきたし、宇宙全体の時間からすればほとんど瞬間に近い速度で自滅するからだ」と答えたものだった。/そしてその、宇宙を覆う膨大な時間帯からして瞬間に近い時間とは、地球時間にしてどれほどのものかという問いに彼は眉をひそめ、「まあ、100年ほどか」といっていた。


○・・・同世代の作家だった開高健の言葉を目にし心を打たれたことがある。調べたら東欧の詩人ゲオルグの詩の一節だった。「たとえ地球が明日滅びるとも、君は今日林檎の木を植える」と。


○・・・原爆投下という歴史の事実がもたらした別の歴史の現実についてある雑誌の巻末言に、怜悧な論客の谷沢永一氏が『分断国家』というタイトルで記している。/太平洋戦争の末期ローズベルトに参戦し日本を攻めろと迫られたスターリンは敗北が必至となった日本に大軍を送るためシベリア鉄道の輸送力を高めていた。/しかしローズベルトの後継者トルーマンは「ソ連が参戦する前に原爆を投下し、ソ連に戦勝国の資格を与えるまいと決意した。広島と長崎の被爆は人類史上に永く伝えるべき悲劇の極致である。日本陸軍は、我が国の全体を焼土と化すまで本土決戦を怒号して一歩も退かない。しかし結果として原爆による屈伏は、ソ連が日本の国土に攻めこむ時間の余裕を与えなかった」。/その結果日本は、ドイツや朝鮮のようにアメリカとソ連の両者によって攻めこまれ占領されて、東西、南北に分断され同じ日本人どうしが敵対することなく終わった、と。これもまた原爆投下の裏に潜んだ、他国の被った歴史が逆証する事実に違いない。「原爆の悲劇を合理化できる根拠はない。けれども広い範囲に及ぶ悲劇的な尊い犠牲者のお蔭を蒙って、我が国は分断国家の惨状に呻吟する地獄絵となるのを免れた」と。


○ある教えに、「努力の目的は結果ではない。結果を目指すことこそがだ」とあるが、まさにそのためにこそ真の指導者は率いる者、教える者たちを叱り、時には突き放しもしなくてはならないのではないか。/スポーツの監督が選手たちに好かれようとする、教師が生徒に愛されようとする、親もまた子供にただ愛されようとすることは、所詮その場しのぎの保身でしかないという、根本的な間違いについて我々は悟りなおす必要がある。


○北極の氷は平成19年の夏には5万3千平方キロ解けてしまい、冬には4万7千キロしか復元しなかった。/このままでいくと2030(平成42)年には完全に消滅してしまう。それを見て北極海に臨むアメリカ、カナダ、ロシアの3国は、氷が解け開発が容易になる北極海での海底の化石燃料の獲得のための領海の線引きにしのぎを削りだした。これをもって文明の悪しき、というより浅はかな循環といわざるを得まい。


○かつての日本における金融危機の際、銀行救済のために公金を注入して危機を脱しようと、野党議員も参加しての提言を政策新人類と呼ばれたグループが強く主張したが、大蔵省出身の先輩政治家たちが反対して潰してしまった。しかし結局はそれしかないということで間を置いて実現はしたが、その間金融機関の傷は深まり当初に比べて公金の支出はかさんでしまった。当時同じ問題をかかえていたスエーデンは日本に比べて早々に銀行救済の手を打ち危機からの脱出に成功した。比べて日本は躊躇足踏みして時期を逸し、結果は「失われた10年」となった。この経験が改めて教えた政策運営の原理とは、政策の有効性の是非についての細かい議論よりも、政策をいつ行うかというタイミングの方が重要ということだ。策の実施が遅れれば遅れるほど事態は悪化していく。/当時の日本の政府が銀行の公金による支援での不良債権処理を始めたのは危機が顕在化してからなんと5年後のことで、この遅れが結局「失われた10年」を招いたのだった。


○・・・教育振興のための家庭補助とか高速道路の無料化といった生活の保護策はかなりの財政支出となろうが、その財源に関する論だけではなしに、そのための金が果たしてどれほど還流するかの問題がある。それをばらまきとするならば、そうして支出される財源がどれほど還流して経済を刺激するかが論じられるべきと思う。/先の選挙での民主党の公約の大きな眼目の幾つかは、それを実践することでの経済面での還流率が希薄なものが多い。もちろん政府からの家庭補助による教育の振興は金目では計りきれぬいわば無形の効果を挙げ得よう。しかしなお、教育に限らずそうした財政援助による福祉政策は、受ける側からは当然歓迎されようが、経済でのお金の還流という面ではほとんど力がない。/だからそれに徹している国ではそれを高率な税金で支えている。先般訪れたデンマークでは教育費はただ、医療費も外国人までただという高福祉国家だが、消費税は25%、所得税はなんと60%と聞いた。高福祉低負担のまかり通る日本では考えられぬ、というよりも口にすら出来ぬことだろうが。


○平成23年日本やタイを襲った豪雨禍やアメリカ東部の豪雪など枚挙に暇のない自然災害は、想定外のものではなしに至極当然のことでしかない。世界中の氷は溶け続け、NASAのハンセン教授の予測通り北極海の氷も後10年わずかで消滅するだろう。/それによって大洋は水かさを増し続け、増えた水は地球の自転の遠心力で赤道付近に集まり、ツバルのような砂州国家は水没し、他の島々も海水で浸食され海浜の破壊は続けられる。増えた水は当然その分だけ以前に増して蒸発して陸地に注がれ、従来に増した降雨降雪となって災害をもたらすというごくごく当たり前の循環の変化でしかありはしない。


評価:7点

 

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コメント

珍しく抜書き読んじゃったW じゃぁ島の件は林檎の木なんだ って思ったり らじばんだり    思い出した、この間も抜書き読んじゃった  へぇぇヘビメタってちょっとめんどくさいな って思ったり らじばんだり   いつも勉強になります。 

投稿: まき | 2012年9月 4日 (火) 09時08分

自分自身、勉強になるなあと思った箇所を抜書きしています。これからも抜書きしていきますので、またヒマな時にでも読んでみてください。

投稿: うじーえ | 2012年9月 4日 (火) 23時57分

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