フェルマーの最終定理
『フェルマーの最終定理』
サイモン・シン 新潮文庫 単行本はH12年刊
数学を題材の一つとして採りあげた「天地明察」がおもしろかたので、数学つながりでこれを読んだ。
タイトルからは難しそうな印象を受けるが、フェルマーの最終定理に挑んだ数学者たちの話であり、定理そのものについての読み物ではない。
ただ、数学に興味がないよりは多少なりとも興味のある方が、よりおもしろく読み進めることができるだろう。
ちなみにフェルマーの最終定理とは以下のとおり。
x^n+y^n=z^n
この方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない。
以下、抜書き。
○(チェスボードにドミノ牌を並べる問題について)(1)科学的アプローチ/科学者はこの問題を実験によって解こうとする。そして何十通りかの並べ方を試したのち、どれもうまくいかないことに気づくだろう。最終的に科学者は、このチェスボードは覆い尽くせないと主張するだけの証拠はあると考える。しかし科学者は、自分の考えが正しいと確信することはできない。というのも、まだ試していない方法でボードを覆い尽くせないとはかぎらないからだ。並べ方は何百万とあり、実際に試せるのはそのうちのほんの一部でしかないのである。覆い尽くせないという結論は、実験にもとづく一つの仮説にすぎず、科学者は自分の説がいつの日か覆されるのではないかと案じながら生きてゆかなくてはならない。/(2)数学的アプローチ/数学者は論理的な議論を展開することでこの問題に答えようとする。論理的な議論からは疑問の余地のない結論が得られ、その結論は永遠にゆるがない。
○(抜書きではないがおもしろかった問題)
√2が無理数であることに対するエウクレイデスの証明
○(同じく抜書きではないがおもしろかった問題)
天秤を用いて1~40kgまで1kg単位で量るためには、最低何個の分銅が必要か。
○(同じく抜書きではないがおもしろかった問題)
トルエルとは、3人で行う決闘のようなものである。ある朝、クロ氏とグレー氏とシロ氏は、もめごとを解決するためにピストルで決闘をすることにした。決闘は1人だけが生き残るまで続けることになった。クロ氏はピストルが下手だったので、平均して3回に1回しか的に当たらない。グレー氏はそれよりもいくらかましで、3回に2回は的に当たる。シロ氏はピストルの名手で、百発百中だった。公正を期するため、クロ氏が最初に発砲し、次にグレー氏(彼がまだ生きていれば)、最後にシロ氏(まだ生きていれば)という順番で、1人が生き残るまで続けることにした。問題はこうである。「シロ氏ははじめにどこを狙うべきだろうか」直感にしたがって答えるも良し、ゲーム理論にもとづいて答えるも良しである。
○17世紀のこと、数学者たちは次の数列を詳しく調べ上げ、どれもみな素数であることを示した。/31、331、3,331、33,331、333,331、3,333,331、33,333,331/数はこの先どんどん大きくなるため、素数か否かをチェックするのはたいへんな作業になる。当時の数学者のなかには、これまでのパターンから考えて、この形の数はすべて素数になると思いたい者もいた。ところがこのパターンに次に現れる数、333,333,331は、素数ではないことがわかったのである。/333,333,331=17×19,607,843
○“オイラーの予想”を取り上げよう。オイラーは、フェルマーの方程式に似た次の方程式には自然数解がないと主張した。/x^4+y^4+z^4=w^4/200年のあいだ、オイラーの予想は誰にも証明できなかった。しかし、反例を見つけてこの予想が成り立たないことを証明した人間もいなかったのだ。まずは手作業による探索が行われ、その後コンピューターが数年がかりで数を篩にかけたが、解はやはり見つからなかった。そこまでしても反例が挙がらないという事実は、この予想を支持する強力な証拠となった。ところが1988年になって、ハーバード大学のノーム・エルキースが次の解を見つけたのである。
2,682,440^4+15,365,639^4+18,796,760^4=20,615,673^4/こうしてオイラーの予想は成り立たないことが示された。それどころかエルキースは、この方程式には無数の解があることを証明したのである。ここから得られる教訓は、たとえ1から100万までの数について確かめたとしても、無限までのすべての数に関する予想を証明したことにはならないということだ。
○問題解決のエキスパートは、相矛盾する2つの資質をそなえていなければならない―たえまなく湧き上がる想像力と、じっくり考えるしぶとさである。/ハワード・W・イーヴズ
評価=9点
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コメント
『HHNI眺望』で観る自然数の絵本あり。
有田川町電子書籍 「もろはのつるぎ」
御講評をお願いします。
時間軸の数直線は、『幻のマスキングテープ』に・・・
『かおすのくにのかたなかーど』から・・・
投稿: 式神自然数 | 2020年6月22日 (月) 05時17分
≪…『フェルマーの最終定理』…≫の風景は、メタ数学(レンマ学・直交補)な『3・4次元勾股弦』で・・・
数の言葉ヒフミヨ(1234)を大和言葉の【ひ・ふ・み・よ・い・む・な・や・こ・と】の平面(2次元)からの送り返して来たモノのとして十進法の基における桁表示の西洋数学の成果の符号などを纏め上げている記事を見つける。
【 結んで開いて 手を打って 結んで また開いて手を打って、その手を背伸びして重ね 】
と
このニ等辺三角形を等辺(3)底辺(2)としてグルッと一周する円錐体は、√8π/3 で、この風景こそ自然数の進む姿だ。
この三角形の『半分こ』の『カタラン直角三角形』(√8 1 3)が、1・2・3・4次元を纏めている。
1 は、π で水平な平面を創生し、
(驚異の定理)
3 は、線(1次元) 面(2次元)を縁起
(関係)付け
(『ヒフミヨ ヒンメリ』)
√8 は、水平面と垂直面を縁起(関係)付け
( i⁴=1 4次元の1 )
【 結んで開いて 手を打って 結んで また開いて手を打って、その手を背伸びして重ね 一回りしてロケットに 】
と 数の言葉ヒフミヨ(1234)を宇宙へ羽ば立たせタイ・・・
投稿: 自然数の量化 | 2025年1月15日 (水) 19時50分