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2014年11月25日 (火)

四次元時計は狂わない

Photo『四次元時計は狂わない
 ―21世紀 文明の逆説―』

文春新書 立花隆  2014年10月刊

「文藝春秋」2011年5月号から「日本再生」の統一タイトルのもとに書き続けてきた巻頭随筆約3年分をまとめたもの。

「日本再生」というタイトルのままの方がいいんじゃないか?タイトルの意味がわからないし興味も引かないけど。。

一つ一つの中身は濃くて、さすが「知の巨人」立花隆。知的好奇心を掻き立てられる。


以下、雑学メモ的抜書き。#は私のコメント。


○47年9月に天皇からマッカーサーに伝えられた秘密のメッセージがあったという驚くべき事実が、平和祈念資料館の「天皇メッセージ」の展示で明らかにされている。アメリカによる沖縄の軍事占領が、「25年ないし50年、あるいはそれ以上の長期にわたって、日本に潜在主権を残したままアメリカに長期租借するという形の擬制(フィクション)的形式の下につづけられることが、日本のためにもアメリカのためにも望ましい」と天皇は考えている。こういう考えを伝える文書が、アメリカの国立公文書館に“コンフィデンシャル(機密)文書”として天皇の御用掛からマッカーサー元帥への覚え書きという形で、ちゃんと保存されているのだ。天皇の考えでは、このような擬制をあからさまな形にすると、ソ連や中国を刺激して同様の要求を出させたり、右翼や左翼の国内勢力を刺激することにもなりかねないから、フィクショナルな形式のまま、事実上の占領継続ということにすればよいではないかということだったらしい。実際、そのような関係がつづいてしまい、今もその延長上にあるから、オキナワ問題は解決の糸口がつかめないのだ。


○沖縄はなぜか熊野信仰が強い。琉球八社のうち七社までが熊野権現を名乗っている。なぜそれほど熊野権現が多いのかというと、熊野の「補陀落僧」が伝えた信仰ではないかという。かつて、熊野灘の沖に観音菩薩の浄土、補陀落があると信じて、船に乗り、必死に補陀落めざして沖へ沖へとこぎ出ていった修行僧たちがいた。補陀落僧の大半はどこか洋上で死んだと考えられるが、何人かが、南西諸島(なかんずく沖縄)に流れついて生きのび、熊野信仰を伝えたと考えられている。琉球の古神道神にニライカナイと呼ばれる神様があるが、これは海の彼方に「ニライカナイ」と呼ばれる永遠の楽土があるとする信仰で、補陀落信仰とうり二つである。

#パズドラにニライカナイというモンスターがいるので、メモっておいた。それだけ。


○自然エネルギーの素材ナマ利用はすべて効率が悪すぎる。バイオマスだけではない。風力も、太陽光も同じことで効率が悪すぎる。日本の生きる道は、多数の電源を併用するベスト・ミックス方式しかないが、どの電源を選ぶにしろ、頭をもっともっと使って技術を発展させ、効率を最高度に高めていくことしかないと思う。

#太陽光発電なんてどんだけ効率が悪いのかどれだけの人が知っているんだろう。


○いまスプリング8を最高に利用しているのはトヨタ自動車かもしれない。トヨタは、スプリング8の中に独自の専用ビームラインを引き(しかるべき使用料を払うとできる)、そこであらゆる部品と材料の研究をしている。それで得た成果が、ガソリン車については排ガス浄化用の触媒の働きをX線吸収微細構造法によって原子レベルで完全解析し、最高性能のものを作ったこと。ハイブリッド車については、リチウムイオン電池の劣化の原因を原子レベルで調べて、最高性能のものを作ったこと。トヨタが世界一の自動車メーカーになれた背景にスプリング8の徹底利用があるのだ。


○ガン治療が急速に進歩したおかげで、アメリカでも日本でも、ガンの世界は、いまや、悪戦苦闘中のガン患者より、安定して生き延びている、ガンサバイバー(長期生存者)のほうが多数派になっている。ガンはいまや不治の病というより、病院に通いながら長期にわたって付き合いつづける慢性病の一種になりつつある。

#それは知らなかった。自分がガンと言われたら早々にあきらめるところだった。


○誰でも1日150リットル(ドラム缶1本分)の原尿を生産しているが、腎臓でその水分の99%をリサイクルして体内に残してくれるから人は干からびないですむ。残り1%の水に老廃物を詰めこんで捨てるものが尿だ。


○五百石(現代の貨幣価値で5000万円ほど)

#ということは、一万石で10億、百万石では1000億!


○江戸時代に、利根川東遷事業という一大公共事業がなされた。大昔、関東一の大河、利根川は江戸湾に直接流入していた。そのころ江戸はそのためしょっちゅう大水害に見舞われていた。下流の流域一帯が湿地帯になり、耕作に適さなかった。その流れを、埼玉県栗橋で大きく方向転換させた。利根川本流が東京湾に向かわず、東に転じ、銚子から太平洋に注ぎこむように誘導した。これで関東南部の水の流れと物流と土地利用が一挙に変わり、江戸を東洋一豊かな都市に変えたのだ。/それくらい大きな構図で日本の未来を考え、それを現実化できる政治家がもう一度出てこないかと思う。


○未来のエネルギー技術の重要な一翼が、水素利用になることはほぼ確実な情勢。その際困るのが、水素に爆発の危険があること。輸送も貯蔵も簡単にはできない。そこで、水素をアンモニアに変換して(アンモニアは窒素1と水素3で作られる)アンモニアとして貯蔵・運搬すれば何の危険もない。いたるところにアンモニアタンクを置けばいい。さらにはアンモニアのまま自動車を動かすアンモニア自動車のアイデアもある(実は、第二次大戦中にヨーロッパで実際に作られ、実際に走っていた)。/これはただの夢物語ではない。科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業の一本になっており、国策プロジェクトとしてすでに走り出している。


○古来日本建築の最高級屋根は檜皮葺き。日本の三大檜皮葺きは、京都御所、善光寺、出雲大社といわれる。中で超特大の屋根が出雲大社の本殿で、・・・

#出雲大社、まだ行ったことがない。行かなくては。


○スウェーデンは、冷戦時代から資本主義国でもなく、社会主義国でもない、独特の社会民主主義国だ。社会全体が富と労働をわかちあい、分配の平等を保っている。税金も高いが高度な社会福祉制度を実現した北欧型社会民主主義国家として有名だ。旅行者として見ると、物価は高いが、みんな朝早くから驚くほどよく働き、夕方になると一斉に働くのをやめて、生活のエンジョイに時間を切りかえている。労賃も生産性も高く、高級品は思いきり高いが、ベーシックな社会共用部分はびっくりするほど安いという豊かな生活を実現している。

#昨今の格差社会が問題視されている日本、これは一つの理想的な答えではないのか?


評価:8点

 

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