読書

2019年4月29日 (月)

日本国紀

『日本国紀』 百田尚樹

 幻冬舎 2018年11月刊

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賛否両論、いろいろと取り沙汰されており、歴史好きとしてはとりあえず読んでみることにした。

百田のおっさんは問題発言が多いが、最初に読んだ「永遠の0」がおもしろかったので第一印象はいい。この歴史教科書みたいな本もたいへん読みやすかった。ただし、おっさんの偏見が随所に散りばめられていて、どこまで本当のことか、どこから偏見なのか、よくわからん。話半分で飲み込めばいいのかな?

 
以下、久しぶりにメモとしての抜書き。#は私のコメント。

 
○608年、聖徳太子は三度目の遣隋使を派遣した。・・・(手紙に)日本の天子を「王」と書くと、自ら冊封を認めることになる。そこで太子は「天皇」という言葉を編み出した。・・・/太子は「天皇」という言葉を用いることによって、中国の皇帝と対等の立場であるということを表したのだ。・・・/これが日本における「天皇」という名称の始まりとなった。それまでは「大王(おおきみ)」と呼ばれていたのが、これ以降、「天皇」という呼称に代わった。「天皇」という言葉には、日本がどこにも従属しない独立不羈の国であるという精神が込められているのである。

 
○仁徳天皇が臣下に高台から遠くを見た時のことを話した。/「民のかまどより煙がたちのぼらないのは、貧しくて炊くものがないからではないか。都がこうなら、地方は一層ひどいことだろう」/そして「向こう三年、税を免ず」という詔を発した。その日から、仁徳天皇は衣を新調せず、宮垣が崩れて、茅葺屋根が破れても修理しなかった。三年が経ったある日、天皇は高台に出ると、炊煙が盛んに立つのを見て、皇后にこう言った。/「朕はすでに富んだ。喜ばしいことだ」/すると、皇后が言った。/「宮垣が崩れ、屋根が破れているのに、どうして富んだといえるのですか」/天皇はこう答えた。/「政事は民を本としなければならない。その民が富んでいるのだから、朕も富んだことになるのだ」/その年の秋、諸国の人々から、「宮殿は破れているのに、民は冨み、道にものを置き忘れても拾っていく者もない。この時に税を献じ、宮殿を修理させていただかないと、かえって天罰を蒙ります」との申し出が次々とあった。しかし天皇はさらに三年、税を免除した。そして六年の歳月が過ぎ、やっと税を課して宮殿の修理をした。・・・/「民、うながされずして材を運び簣を負い、日夜をいとわず力を尽くして争いを作る。いまだ幾ばくを経ずして宮殿ことごとく成りぬ」/民を思う天皇に感謝した民衆が、自発的に宮殿の修繕に参じたのである。「大御心」(天皇の心)と「大御宝」(国民)という関係がこうしてできあがっていったのだろう。

#仁徳天皇陵のある堺出身なので、仁徳天皇にはなんとなく親しみがある。

 
○醍醐天皇によって大宰府に流された菅原道真は、二年後にその地で亡くなるが、「祟り」はそれから数年後に起きる。・・(数々の祟り)・・/醍醐天皇は道真の怨霊を恐れて、彼の左遷を取り消して名誉を回復させるが、祟りは収まらなかった。・・(数々の祟り)・・朝廷は道真の怨霊を鎮めるために北野天満宮を作り、そこに道真の霊を祀って、ようやく祟りは収まった。

 
○室町文化の特色としてまず挙げられるのは、「わび・さび」である。/「わび」(侘び)とは、「心細く思う」「落ちぶれた生活を送る」「困って嘆願する」などの意味を持つ「わぶ」という動詞の名詞形だ。本来良くない意味を持つこの言葉が、中世の頃から「貧粗・不足の中に心の充足を見出そうとする意識」へと変化し、室町時代の茶の文化などと結びついて、独特の美意識が形成された。/一方、「さび」(寂び、あるいは然び)は、「さびれる」を意味する動詞「さぶ」の名詞形である。本来は「時間の経過とともにものが劣化する」という意味の言葉だったが(金属の錆もそこから来ている)、室町の頃から、「閑寂さの中に、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさ」という意味を持つようになった。これもまた日本独特の美意識である。

・・・住宅も質素なものとなり、それらは今日の和風建築のもととなった。庭も自然の地形を生かしたものとなり、また枯山水と呼ばれる簡素で象徴的な庭園も作られた。枯山水は水のない庭のことで、池や水を使わずに石や砂などにより山水の風景を表現する日本独特の庭園様式である。龍安寺の石庭や龍吟庵の東庭が有名だが、・・・

 
○・・・宣教師ルイス・フロイスの眼力は見事というほかない。ついでながら、明智光秀評も紹介しておこう。/「裏切りや密会を好み、刑罰を科するに残酷。忍耐力に富んでおり、謀略の達人」

#来年の大河の主人公なのに、これでは身も蓋もない。。

 
○ペリーが兵隊を乗せた小舟を下ろし、江戸湾の水深を測るという行動に出た時、忘備にあたっていた川越藩兵はそれを阻止しようとしたが、幕府から「軽挙妄動を慎め」と命じられていた浦賀奉行によって押しとどめられた。自国領内、しかも江戸城のすぐ目の前の海を外国人が堂々と測量することを黙認した幕府の態度は腰抜けとしかいいようがない。ただこれは、現代の日本で起きていること、たとえば尖閣諸島の沖で、中華人民共和国の海警局の船の跋扈を看過している状況と似たことのようにも見える。

#歴史の記述に付帯して、こんなコラムが山のようにある。

 
評価:9点

ホントかウソか、よくわからないところがたくさんあるが、読んでおいて損はないと思う。歴史の勉強になる。

 

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2019年3月22日 (金)

海街diary

『海街diary』(全9巻)
 
 吉田秋生 小学館

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3年前に7巻まで読んでて、ちょっと前に完結したようなので読了した。
 
話を思い出すために7巻から再読したけど、全然覚えてなくてめっちゃ泣かされた。。

とてもいい作品だった。
 
評価:10点


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2019年2月23日 (土)

七つの会議

81pa9nsjdol『七つの会議』 池井戸潤

 集英社文庫 単行本は2012年11月刊

映画化されたので、映画を観る前に読んでおいた。小説の映像化は原作を越えることはない、と思ってるので。

原作の評価が高いので、先に映像を観てしまうと原作を読む楽しみが減ってしまうのがもったいないし。

池井戸潤得意のサラリーマンもの。
「下町ロケット」シリーズよりは名作「空飛ぶタイヤ」に似ている。リコール隠しがテーマだし。「下町ロケット」シリーズもおもしろいが、2作目以降はどうもドラマの脚本を読んでるようで。


舞台となる中堅メーカーの親会社が大手総合電機メーカーのソニック。これは、モデルがソニーか?パナソニックか?

その中堅メーカーが住宅設備関連も取り扱っている東京建電。ということなら、モデルはパナソニックとなる。ということで馴染み深く(?)読み進めることができた。

8つの短編で構成されている長編。短編の1つ1つに主役がいてそれぞれおもしろく、1つの長編としてもおもしろい。そしてリコール隠しの真実は最後までわからない、という構成力はさすが。

映画もそのうち観てみたい。キャスティングが良さげだし。


評価:10点

 

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2018年12月27日 (木)

このミス キング・オブ・キングス

毎年、発表を楽しみにしている、このミスベストテン。
今年は、「このミステリーがすごい」30周年記念企画、というのがあった。

1988年~2018年の30年間の歴代1位作品と10周年&20周年のベスト・オブ・ベスト1位作品を対象とした、キング・オブ・キングス!

1.生ける屍の死                 山口雅也
2.64                        横山秀夫
3.容疑者Xの献身               東野圭吾
4.火車                      宮部みゆき
5.新宿鮫                     大沢在昌
6.私が殺した少女               原尞
7.葉桜の季節に君を想うということ     歌野晶午
8.ゴールデンスランバー            伊坂幸太郎
9.奇術探偵 曾我佳城全集          泡坂妻夫
10.独白するユニバーサル横メルカトル  平山夢明

既読なのは、2、3、4、5、8、の5作品。
この5作品はすべて10点付けた。

1位を読まなくては!


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2018年10月12日 (金)

下町ロケット ヤタガラス

Photo_2『下町ロケット ヤタガラス』

池井戸潤 小学館 2018年10月刊

「・・・ ゴースト」の続編。

相変わらず読みやすいしおもしろい。

カバー絵にあるとおり、今回のテーマは農業。日本の農業が抱える課題をもっと深掘りしてほしかった、とも思うが、そうなると読みやすさが薄れるかな。

ドラマが始まる日曜までに読み終えて良かった。佃社長をはじめ、登場人物をそれぞれの役者の顔を思い描きながら読み進めることになってしまい、読書のおもしろさが減じてしまうが、しょうがない、ドラマもおもしろいから。


評価:8点

 

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2018年9月24日 (月)

羽州街道、佐渡のみち

10_2『羽州街道、佐渡のみち-街道をゆく10-』

司馬遼太郎 朝日文庫 単行本は1978年刊

かなり昔に半分だけ読んで放置してたのを見つけたので、残りの半分を読んだ。

おそらく、山形へ行く前に半分読んで、佐渡へ行くときに残りを読もうと思って放置してたんだろうけど、行く予定もないのでとりあえず読んでおいた。

羽州街道の方の記憶はまったくなく、ページを折り曲げたりの目印もないので、そっちの感想は省略。

佐渡のみちについて、以下一ヶ所抜書き。

「江戸幕府では、勘定畑(長官は勘定奉行)が、もっとも優秀な人材をあつめるしきたりになっている。それが明治政府の大蔵省にひきつがれ、こんにちなお、各省を超越して人材をあつめる優先権をこの省が持っているというのはおもしろい。・・・江戸幕府が二百数十年もつづいたという理由の多くは、勘定機構の人材がそれをささえたということさえ言える。この勘定機構から、幕府直轄領の代官や遠国奉行などがえらばれる。」

佐渡奉行の話から上記の話が出てきたが、大蔵官僚は江戸時代から優秀だったということね。大蔵大臣は別にして。


評価:7点(後半のみ)

 

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2018年9月15日 (土)

アド・アストラ

61yq7shnyzl『アド・アストラ-スキピオとハンニバル-』(全13巻)

カガノミハチ 集英社

紀元前三世紀のローマを舞台にした歴史もの。

描かれているのは第二次ポエニ戦争というらしい。世界史は得意ではないが、おもしろかった~

小説にしろ漫画にしろ、歴史ものは大好物。

 

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2018年8月27日 (月)

知的ヒントの見つけ方

Photo『知的ヒントの見つけ方』 立花隆

 文春新書 2018年2月刊

月刊「文藝春秋」の巻頭随筆(2014年8月号~2017年12月号)をまとめたもの。「四次元時計は狂わない」の続編。

以下、久しぶりに抜書き。#は私のコメント。


○マスコミ報道の自由をめぐって、いま国際NGO「国境なき記者団」から、報道の自由度ランキングで、日本は世界の72位という著しく低い評価を受けている。そのニュースに、菅義偉官房長官は、「とんでもない。日本は世界一報道の自由がある国です」と憤慨してみせたが、・・・。形式的には、日本にはいつでも報道の自由があることになっているが、日本のマスコミ人はそれをしばしば自己放棄(自己規制)して、報道の自由を自ら取り下げてしまうのだ。

#ほんとにそう思う。というか、絶対、どこかが規制をかけ、マスコミがそれに従ってる、もしくは忖度してると思う。


○・・・この自然の豊かさと引きかえに、日本はきわめて危険なことが起こりやすい環境の中にいる。「こういう危険なところに住んでいることを自覚した上で、海の恵み、山の恵みも我々の暮らしにある」という自覚が必要だろうし、危険が迫ったら迫ったで、「台風は会いたくない親戚がくるようなものだ」と気楽にかまえるマインドも必要だろう。「災害にしなやかに対応できるという意味での真の強靭化社会を築かねばならない」という考えに全く賛成である。

#全く賛成である。


○いま海は近未来の日本にとって、歴史的大災禍をもたらす原因(富士火山帯噴火・南海トラフ大地震など)になり得る自然システムであると同時に、これまで日本の最大の弱点であった資源エネルギー問題において、歴史的大逆転をもたらし得る可能性を秘めたものでもある。日本は国土の大きさにおいて世界で61位の小国だが、日本が利用可能な海の広さ(領海プラス排他的経済水域)において世界6位の大国でもある。利用可能な経済水域を現実の富に変えていくのは、ひとえに海洋資源の利用技術だが、この点において、日本は圧倒的に技術優位な大国である。メタンハイドレート、海底油田、ガス田、海底熱水鉱床、マンガン団塊、コバルトリッチ・クラスト、レアアース資源泥などなど、日本の最弱点とされてきた資源問題において、日本はこの先、その資源量においてと、希少価値において、圧倒的なパワーを持つ可能性を秘めている。1994年に国連海洋法条約が発効して、いま世界中で公海海底の資源利用の大競争時代がはじまっている。そのすべての局面において、トップを走っているのが日本である。日本では08年に国家戦略としての海洋基本計画が作られ、以後5年ごとにそれが改訂され、常に世界のトップを走りつづける体制が取られている。

#ほんまに?もっと詳しく知りたい。


○現在使われている形のリチウムイオン電池の原型を開発したのが、吉野彰氏であり、その基本的仕組みも、基本的製造上のノウハウも、すべて特許にしてしまったので、旭化成は、かつては東芝と共同出資の会社を作って自ら電池を製造販売していたが、いまは電池に関してはもっぱらライセンス商売と基幹部品の製造販売で儲けている。/先日、日本経済新聞社が、毎年恒例の「主要部品・サービスシェア調査」を発表した。リチウムイオン電池の項を見ると、1位がパナソニック、2位がサムスンSDIと世界的電機メーカーである。しかし、基幹部品のリチウムイオン電池向けセパレーターでは旭化成が圧倒的トップシェアを保持している。セパレーターというのは、電池の中で電解液という化学反応の中心的担い手の陰(マイナス)極側と陽(プラス)極側がまじり合うのを防ぐためにさし込まれているプラスチック製境界板のこと。このセパレーターには、ナノメートル単位の微細な穴が無数に空いており、その穴を通して特定のイオンが通過したり、通過しなかったりする。それがうまくいかないとリチウムイオンが結晶となって析出し、ついには過熱して発火する。デル社のノートパソコン発火事故、サムスンのスマホ発火事故、ボーイング787の発火事故など、リチウムイオン電池関連の発火事故のほとんどはこのセパレーターの不具合に起因している。つまりリチウムイオン電池の生命線はこのセパレーターにある。ここが技術的に最もむずかしく、利益率も高い。旭化成はそこをしっかり今も自分の手で握っている。

#知らんかった。。


○あえていっておきたいのですが、私はまだ日本は原発技術を捨てるべきではないと思います。もし原発が、原理的にコントロール不能であるなら、早く撤退すべきです。しかし国会事故調査委員会の報告書、その他の報告書を読んでも、出てくるのはあの事故が人災であったという話で、原発が原理的にダメだという話ではありません。菅直人元首相や班目春樹元原子力安全委員会委員長の証言を読むと、あの事故の直接の原因が、当事者たちのずさんな対応にあったことがあまりに明らかです。あの事故をもって、原発そのものがコントロール不能であることの証明とするような総括の仕方は間違っていると思います。

#ほんまか?別の本でもいいから、もっと詳しく書いてくれんかな。


○実は太陽光発電に関しては、発電効率を飛躍的に高める研究が模索されています。今は太陽光のごく一部しか電力に変換できていないのですが、もっと太陽光スペクトルの幅広い部分を電気に置き換える仕組みを開発しているグループがあります。これが実現すれば、原子力発電なみの効率をもつ太陽光発電が可能になるのです。

#これも俄かには信じ難い。詳しくは自分で調べろと?


#知的ヒントは確かにいろいろ与えてくれたが、もっと詳しいことを手軽に知りたい。。


評価:7点

 

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2018年8月15日 (水)

下町ロケット ゴースト

Photo『下町ロケット ゴースト』

池井戸潤 2018年7月刊

なんやこれ、前編やん。

帯の反対側に「下町ロケット ヤタガラス」今秋発売予定!と書いてあるし、同じことが本編終わった後の最後のページにも書いてあった。

完結した話の続きモノではなく、明らかに2部作。それならそうと、2冊いっしょに出してよ。


評価:おあずけ

 

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2018年8月 6日 (月)

日の名残り

Photo『日の名残り』 カズオ・イシグロ

ハヤカワepi文庫

言わずと知れたノーベル賞受賞作家。
読んだのは2つ目。

前回読んだ「わたしを離さないで」はテーマが重かった。これは、そんな重いテーマではないが、決して軽くはない。

淡々と物語は進むが、最後に来て読むスピードが早くなるあたりはさすがノーベル賞受賞作家。

これは映画化され、今年の午前十時の映画祭のラインナップに入っている。ぜひ観たい。


評価:9点

 

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